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こう思っていませんか?「断熱等級は6か7、窓は樹脂サッシ、換気は熱交換型ダクト式一種換気」

執筆者の写真: 管理建築士 石田管理建築士 石田

こんにちは。建築士の石田です。

今回はSNSやハウスメーカーHPでよく目にする断熱、サッシ、換気についてお伝えしたいことがあります。

断熱は等級6か7、サッシは高性能の樹脂サッシ、換気は省エネに必須の熱交換型ダクト式一種換気がであればOK!と思っていませんか?

本当でもあり、じつはそうではないこともあるんです。


断熱は等級6か7のUa値があればいいんでしょ?

確かに断熱性能は高ければ高いほど寒い寒冷地では暖かく過ごせます。そして、省エネとなりお財布にも優しく、万が一の停電や災害時でも最小限の暖房で過ごせます。

しかし、使われる断熱材や防湿層の確認が必要です。

綿状の繊維系断熱は防湿層を正しい位置に設けないと内部結露発生の原因となります。柱などが腐るほどにはなりませんが、カビや断熱材の性能が著しく低下する原因となります。また、晴天の多い長野県では夏の日射の対策も必須です。断熱材だけでは屋根からの日射熱は防ぎきれません。屋根には遮熱性能を持たなければ二階や吹き抜けが暑くなってしまいます。近年では遮熱性能を有した断熱材や遮熱フィルムなどを屋根裏面に張る技術が確立されてますが、まだまだ完全に普及していません。遮熱は反射した熱を逃がす構造も必要なため構造的に複雑になりコストが高くなる傾向があるのが要因かと思います。

断熱等級やUa値の数字に振り回されず、断熱材の耐久性や防湿層の位置、遮熱の有無などもしっかり確認する必要があります。


サッシは樹脂サッシがいいらしいね?

これは本当に良くお客様から聞かれます。インターネットやSNSなどでもそのような記事や映像を目にします。樹脂サッシとはガラスをはめる枠やレールが樹脂のみで構成されている窓になります。確かにサッシ自体はアルミ樹脂複合サッシよりは高性能です。しかし、窓のほとんどはガラスです。また、樹脂サッシは構造的にアルミより弱いため太くなります。したがって窓の大きさによっては樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシと同じ性能になることもあります。


見た目や使い勝手も違います。樹脂サッシは枠が厚いため、アルミ樹脂複合サッシの方がデザイン性が高くカラーも多いです。また樹脂はアルミよりかなり重いため。窓の開閉に重く感じます。


そして、一番気になるのが耐久性です。樹脂サッシは近年出回るようになってきた比較的新しい商品です。また寒暖の厳しい寒冷地では樹脂の伸縮や赤外線や紫外線からの影響などはこれから判明していくと思います。実際に弊社のお客様で、真夏でもないのにサッシの部材が曲がってしまった不具合が起きました。幸い防水やガラス自体に影響のある部分ではないため部分的な交換で対応できたのですが、樹脂サッシの耐久性についてはしっかり注視していく必要があります。


樹脂サッシが一番良いという思い込みを一旦無くし、コストや耐久性、ガラスの性能もしっかり検討する必要があります。もっとも、窓自体も建物全体からすると部分的になります。建物全体での断熱性能をしっかり検討し、適材適所に窓を選択することが大切です。

因みに樹脂サッシだからと言って結露が完全に防げるわけではありません。逆に弊社モデルハウスでは耐久性やデザイン性からアルミ樹脂複合サッシを採用していますが、結露は一度も起きていません。住宅がどのように設計・施工されているかが一番大切です。


換気は熱交換型ダクト式一種換気が最強?

このご質問もよくあります。結論としてはC値が0.4~0.2以下であれば採用する価値あり(コストは大)となります。C値とは気密性能を示し、値が低いほど高気密となります。1以下が高気密住宅と言われており、高性能を謳うハウスメーカーでは0.5~0.6となります。C値0.4~0.2を達成するためには相当なコストが掛かります。なぜC値が0.4以下必要なのかは長くなりますので割愛しますが、経年の影響と漏気量を考慮した数値となります。


ダクト式一種換気とは機器からダクトを各部屋に伸ばし、給気と排気を制御することで効率よく換気をする仕組みです。また熱交換を組み入れることで空調された熱をなるべく逃がすことなく換気できるため省エネ性が高いと言われています。

理論上はそうなのですが、いろいろと問題があります。


まず、ダクトを使うことによってダクトの長さによる換気のムラが起きます。機器から近いところが強い風量で換気をし、逆に遠い部屋は換気が弱くなります。長いストローと短いストローでは吸い込み方が違うことをイメージ頂ければわかりやすいです。これではわざわざコストをかけて均一で効率よく換気を期待したのにメリットが半減してしまいます。


そして、気候の影響により内部結露が発生してしまいます。風が多い地域や時期などでは排気がうまくできず、室内気圧が高い状態になります。すると、気密性能がC値0.4以上の建物では内部の湿気が外に向かって流れていき、外壁の内部で結露してしまいます。自然の力には到底勝てませんので起きてしまう恐れが高い現象です。


そもそも、寒冷地では熱交換が必要な時期はせいぜい11月後半~3月初旬の3か月程度です

す。1年の4分の1程度の為に大きなコストや間取りの制約、機器のメンテナンスの煩雑さ等のデメリットを受け入れるのか疑問を感じます。熱交換は一年中になりますので省エネ効果についても疑問符がつきます。

したがって、C値0.4~0.2と一種換気にコストをかけるぐらいなら、高性能省エネ空調機や遮熱、断熱性能を上げるためにコストをかける選択肢もありかと思います。


今回は以上になります。

情報が溢れる時代ですが、商品を売るために都合の良い部分だけを発信することは昔から変わりません。特に数値(等級やUa値、C値等)に振り回されないようお気を付けください。家づくりは感性が一番大切だと思います。住みたい家とライフスタイルをイメージし、それに必要な性能を予算に合わせて組み合わせていく。この順番が最も満足度が高い家づくりになります。


もっと知りたい!や、不明点などはお気軽にJOE設計までお問い合わせください!

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