中古物件購入⇒リフォームの4つの注意点
- 管理建築士 石田
- 2月4日
- 読了時間: 4分
こんにちは。一級建築士の石田です。
今回は中古物件リフォームの注意点について4点お伝えします。
近年の新築住宅価格の高騰で住宅のリフォームの問い合わせが大変増えております。
中古物件を現状引き渡しで購入し、リフォームをしようとお考えの方が大半です。
中古住宅の仲介では2018年よりインスペクションの「斡旋」が義務化となりましたが、
あくまで斡旋義務の為、まだまだインスペクションの実施については消極的なケースが多いようです。
理由は様々ありますが、コストが掛かることと目視点検になるため見えない部分については確認ができないことが挙げられます。
耐震診断についても同様です。
つまりはインスペクションや耐震診断を実施したとしても完全に安心できるわけではないのです。
私たちはこれまで内外装リフォーム工事を数多く経験してきました。
経験を踏まえ、以下の4点に注意して中古住宅の選定をして頂ければと思います。
①隠れた漏水や結露
住宅の一番の大敵は木材の水濡れです。
漏水や結露による長期間の水濡れは構造の腐食やカビの発生を起こすからです。
漏水の有無は、軒天や室内の天井しみ、天井内などを主に点検しますが、外壁からの漏水や浴室等水廻りの床下漏水は分からないケースがあります。
弊社で実施した外壁リフォームや浴室リフォームでは土台や柱が腐っていたり、見えない部分でシロアリ被害があった事例があります。
シロアリは湿気を好み、腐った木を食べて巣をつくります。
また、もともとの施工次第では壁内結露により漏水と同じような状態になることもあります。
時代の古い断熱性能の低い住宅では注意が必要です。
②過去のリフォームによる構造の弱体化
中古住宅では過去にリフォームをしている物件も数多くあります。
二つの部屋を一つにしたり、壁を抜いてドアを作ったりなど
構造的な知見のない業者が地震に耐える筋交いや柱をむやみに取ったり変更したりしてしまっている可能性もあります。
当然、天井の中や壁の中は点検では全部は見えません。
2x4などの柱のない壁構造の場合、壁をとってしまうことで非常に危険な構造になってしまいます。
耐震診断は筋交いの位置、柱や梁、土台の接合部をすべて確認することは難しいので完全ではありませんし、現状でしか判断できません。
構造を変えた形跡のある物件は注意が必要です。
③地盤の軟弱性と基礎の構造が不明
新築住宅の場合、現在では必ず地盤調査を実施します。
地盤調査の結果をもとに基礎の形状を決定します。
しかし、時代の古い中古物件で地盤調査結果のある物件はほとんどありません。
周辺の状況や基礎の沈下等でしか判定できません。
また、寒冷地では凍結震度と言われる「土が凍る深さ」を考慮した基礎の深さが重要になります。
土の凍み上がりの威力はすさまじく、適切な基礎にしないと建物は簡単に持ち上がります。
今現在傾いていなくても見えない部分で基礎の沈下や持ち上がりがあったり、これから傾くかもしれません。
これも、基礎の図面が残っていることはほぼないですし、あるとしても実際の施工と異なるケースもあるかもしれません。
地盤の弱い地域や標高の高い地域の建物は特に注意が必要です。
④建築確認許可証・完了検査済み証がない
中古物件をリノベーション(耐震改修を含む)する場合、今年(2025年)の4月より過半を超えるの構造に手を加える場合、新築住宅と同様に建築確認が必要になります。
(詳しくはこちらの記事をご覧ください。)
建築確認とは建築基準法や関連する法律に適合していることの確認行為になります。
中古物件の中には建築確認済であっても完了検査を受けていない物件がよくあります。
時代によっては慣例化していた頃もあります。
つまり、完了検査をうけていないので図面通りに適法になっていると確認できないことになります。
建築途中で変更している可能性があるからです。
適法でないとリフォームの弊害になることもあります。
また、増築、カーポートやガレージ、大きな物置など確認申請をせずに施工しているケースも多くあります。(敷地に対しての建物面積の適法を確認していない等)
その場合、リフォームの確認申請の際に詳細調査費・作図に多くの費用が掛かったり、場合により撤去や減築などをしなくてはならないケースもあります。
建築確認の有無、増築の有無、面積が適法かどうかの注意が必要です。
今回は大事な4点をお伝えしました。
「そんなこと言われると怖くて中古物件買えないじゃん!」と思われるかもしれません。
すべてをクリアする良い中古物件はなかなかないかもしれません。
しかし、ある程度の事態を見越して購入することが大切と感じます。
「こんなはずじゃなかった!」と思わないためのご参考になればと思います。
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